2025.08.04
コラム
6月18日からはじまったカヌー・スラロームセンターでの水難事故防止教育プログラム「カヌスラで海そなえ!」も全13回のうち9回が終わりました。このあと予定されている8月のプログラムはすでに満員となっています。
9月はシニア(50歳以上)のプログラムが予定されていますが、50歳以上の方が含まれていれば49歳以下の方とご一緒に参加可能となっています。
今回は、プログラムへの参加ではなく見学者として、プログラム全体を見ていきます。
まだ参加可能なプログラムも残っていますので、参考にして下さい。
このプログラムは、以前参加した時からさらに内容がアップデートされていました。
「今、着ているライフジャケットは本当に必要なものなのか?」という疑問に対して、実際に水に入る前に、ライフジャケットの必要性と正しい使い方について目で見て理解してもらうプログラムが追加されていました。これにより実際に水に入ったあとのプログラムでの学びの質が変わってくると思われます。
①「そもそも、人は何もしなくても水に浮くのでは?」
香川のライジャケサンタこと森重さんが開発した、人の浮き方を忠実に再現した人形「ウキウキくん」の登場です。
参加者の前でライフジャケット未着用のオレンジの人形とライフジャケット着用のグリーンの人形を水に入れ、その浮き方の違いを見てもらいます。明らかな差がありました。
人は大きく息を吸って肺に空気が溜まっていたとしても身体の比重で浮くのは2%と言われています。(オレンジの人形)
「人は浮くものだと思っていた」子どもたちの意外な表情は、「浮くから大丈夫」という思い込みを拭い去り、水に入る時の意識が変わったように思えました。
②「とりあえずライフジャケットをつけていれば安心?」
次に、ライフジャケットを着用していると浮くことを理解したあとは、正しく着用しないで落水したらどうなるかを、ライフセーバーが実演しました。
参加者は、落水したライフセーバーのライフジャケットが簡単に脱げてしまうだけでなく、脱げたライフジャケットが泳ぎの妨げになるという様子を目の当たりにしました。
子どもたちの表情から、この学びを自分ごととして捉え、正しく着用する重要性を理解していることが伝わってきます。
プログラムの後半では、ラフティング体験の後に「川の流れを体験する」プログラムが新たに追加されていました。
一方向へ流される離岸流の体験とは異なり、複雑で速い川特有の流れを再現したエリアで流される体験になります。再現された力強い川の流れを前に、子どもたちの表情から緊張しているのがわかりました。
実際に飛び込んでみると、流れの速さに少しパニックになる子もいましたが、ライフセーバーの「足を上げて!」「流れに足を向けて!」という的確な声が掛かると、子どもたちはすぐに安全な姿勢をとり、落ち着きを取り戻して流れに身を任せることができていました。
子どもたちの緊張していた表情が基本姿勢を取り流されていく中で次第に和らいでいく変化を見ることで、見学者として見ていたこちらの「緊張」も「安心」に変わっていきました。
プログラムに組み込まれている離岸流や川の流れを体験することは、子どもたちにとって初めてのことで、怖さもあったと思います。
今回のプログラムで学んだ知識と離岸流や川の流れ体験で得た「自らの身を守れた」という経験は、参加者の自信につながると同時に、「どのような場所が本当に危険なのか」を身をもって認識するきっかけになったのではないでしょうか。
このプログラムに参加することで、子どもたちにとって海や川は、漠然とした「実態のわからない場所」から「どこに危険が潜んでいるか意識できる場所」へと変わっていったと思います。
参加後のアンケートで、ほとんどの子どもが「海や川に行きたくなった」と前向きに回答しているのは、この「わからないもの」から「わかるもの」への変化から生まれる一種の「安心感」が土台となり、子どもたちの中で海や川が「もっと知りたいと思える興味の対象」へと意識の変化が起きた結果だとも考えられます。
海や川の危険を理解した上で、海や川から遠ざかるのではなく「行ってみたい楽しい場所」だと思ってくれたこと、そう思えるようになったという子どもたちの声を聞くことができ、本当に嬉しかったです。
今回のプログラムを見学して最も印象的だったのは、参加した子どもたちが生き生きとした表情をしていたことでした。
子どもたちの表情こそがこの取り組みの成果を物語っているのだと、改めて思います。
残りの8月、9月の水難事故防止教育プログラム「カヌスラで海そなえ!」にぜひご参加ください。