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REPORT 水難事故に関する調査

1万人以上を対象とした
調査結果 初公開
「海のそなえ」水難事故に
関する調査サマリー
~12歳以下の水難事故に関する
安全教育の必要性が浮き彫りに~

一般社団法人うみらい環境財団は、日本ライフセービング協会、日本水難救済会とともに日本財団が企画・統括する「海のそなえプロジェクト」の取り組みの一つとして、水難事故に関する3つの調査を実施いたしました。
この調査では、水難事故に関するファクト・実態調査、国民の水域利用と水難事故に関する意識調査、および水泳指導に関する意識調査の3つの調査を実施し、調査データを分析した結果をサマリーとしてまとめています。
今後は、社会的な仕組みとしての対策につなげるため、ナショナルデータの集約・分析、および情報共有を行うシンクタンク機能を作っていく予定です。

「海のそなえ」水難事故対策に関する調査結果サマリー

本調査データをご使用の場合は、「日本財団 海のそなえプロジェクト」と出典を明記ください。

調査実施背景

水難事故が増加する夏。なぜ「コピペ事故」(=似たような事故)が繰り返されるのか。夏に向けて水辺の危険が増える時期を迎える前に、問題提起を含め水難事故の実態を明らかにし、これまでの水難防止・救済情報の常識を疑うことで、「何が正しくて何が有益な対処法なのか」を明確にします。

調査結果(一部抜粋)

水難事故の発生は14時に多い

約200の主要海水浴場で毎シーズン2000〜3000の救助が発生。
自然要因は離岸流・風。個人要因は泳力不足・疲労・パニック

あなたが考える海に関する危険を評価してくださいという問いに対して、「とても危険」の評価に
「サメ」「水深」が上位。水難事故の主要因の「風」を「とても危険」と評価していない人が多い

約5人に1人が、「自力で陸や地上に戻れない」「意識を失う」「心肺停止になる」といった、
溺れの経験がある

溺れた当時のプールでの泳力は、25m以上泳げる人が約半数だった。

溺れの経験は、12歳までが多く、溺れの多くは、⼩学⽣以下の体験である。

はじめて⾃然⽔域に⾏った際、⼩学校⼊学前は91%、⼩学⽣低学年は62%が、安全教育を学んでいない。

「溺れない、溺れそうになっても助かるためのそなえや行動」について、
約6割が「ライフジャケットの着用」と回答

ライフジャケットの着用経験がないのは約半数以上

海や川など遊泳時のライフジャケットの着用経験は15%以下

小学校の水難事故防止教育において、
「小学校の教員が教えるのが難しい」と、6割以上の教員が回答

水泳授業は、小学校では89%がクラス担任が担当し、
「安全に関すること」に対して大きく不安を感じている

今後の外部委託については、
小学校で「検討したい」「検討している」で4割

調査概要

調査1:水難事故に関するファクト・実態調査

【目的】

水辺の溺れ事故について、関係機関がデータを収集しているが、助かった事例も含む全ての水域での溺れ事故を対象とした国としてのナショナルデータはない。そこで「既存データの収集・分析」と「夏季の溺れ事故の実態調査」を実施し、わが国の溺れの事故を正しく理解する。さらに、これらの結果をもとに、全国の溺れ事故のデータベース化を図るためのシステムを検討する。

【調査手法】

  • 既存(公開)データの収集・分析
  • 報道記事調査(2024年7, 8月実施)

【データ元】

  • 厚生労働省「人口動態統計」
  • 警察庁「水難の概況」
  • 海上保安庁「海難の現況と対策」「海上保安統計年報」
  • 消費者庁「こどもの事故防止に関する関係府省庁連絡会議資料」
  • 公益財団法人日本ライフセービング協会「アニュアルレポート」

調査2:国民の水域利用と水難事故に関する意識調査

【目的】

溺れ事故に関する既存データはあるが、事故防止のためには利用者の行動や考えを理解する必要がある(国民の水辺利用に関する行動実態は明らかでない)。そこで自然水域に関する利用者の知識、技能、行動、溺れの経験などを調査。調査1の結果と合わせ、これまでの常識を疑うような事実の洗い出しを行い、原因を正しく理解して対策を検討。

【調査手法】

  • 方法:インターネット調査
  • 期間:2024年5月2日~16日
  • 対象:一般利用者(国民)、都道府県均等割り、15歳~70歳の男女、回答数11,829人。
  • 内容:Ⅰ基本情報、Ⅱ利用[場所・方法・頻度](11問)、Ⅲ教育(21問)、Ⅳ安全知識(19問)、Ⅴ溺れの経験(19問)、Ⅵ装備[ライフジャケット](11問)、そのほか(4問)計85問

調査3:水泳指導に関する意識調査

【目的】

学校教育で実施されている水泳授業は、子どもたちの泳力を高めることで、水難事故から命を守ることに寄与されると考えられてきたが、水難事故による死亡者数は減少していない。そこで教育関係者に学校で実施されている水泳授業の実態を調査することで、その課題を明確にし、必要な水泳授業の内容や支援策について検討する。

【調査手法】

  • 方法:インターネット調査
  • 期間:2024年5月2日~6日
  • 対象:2023年度に「小学校教員」もしくは「中学校教員」として勤めていた20歳以上(上限なし)の男女、回答数2,060人。
  • 内容:Ⅰ基本情報、Ⅱ水泳授業に関する質問(28問)