世界溺水防止デーに寄せて

2025.07.25

コラム

7月25日は、「世界溺水防止デー World Drowning Prevention Day」です。

2021年4月14日、国際連合が溺水事故によって失われる人的・資源的被害の甚大さを懸念して総会で決議した、「Global drowning prevention」(溺水防止への世界的な取り組み) の中で定められました。

溺水の防止を国際的に考える節目の機会にあたり、海のそなえプロジェクトとしても、水辺をもっと安全に楽しむための「そなえ」を社会全体で築いていくことに、改めて全力で取り組んでまいります。

01. はじめに

今年度、本プロジェクトで取り組んでいる溺れ事故の実態調査では、GWと夏季を併せて、全国で168人の方が溺れており、うち110人が亡くなっています。
事故は水域別では海岸と河川、アクティビティ別では遊泳や釣りで多い状況です。

GWは4/26-5/6、夏季は6/1-7/21(7/25現在)

溺れ事故の実態調査

こうした溺れ事故を1件でも減らしていくために、海のそなえプロジェクトでは、「溺れてからの対応」「事故への対処」ではなく「溺れないための対策」「事故の予防」に力点を置き、2025年度は3つの施策を実施しています。

02. 「これで、おぼれた。『おぼれ100』」

『おぼれ100』は溺れ経験のある1,000人を対象に実施したヒヤリハット調査や溺れ事故の実態調査、既存の調査データなどに基づき、ありがちな溺れのきっかけを100個に整理しました。
InstagramやWebサイトで発信されています。

Instagramを見た人に、コメント欄で『自分もこういう体験があった!』というエピソードを、自由に書き込んでもらい、共有することで予防に繋がります。

03. カヌー・スラロームセンターでの教育プログラム

東京オリンピックで競技会場として整備されたカヌー・スラロームセンターを活用し、人工的に再現した離岸流や川の急流の中で「溺れ」や「助けるための行動」、「助かるための行動」を安全に学ぶことができる教育プログラムです。

学校のプールとは異なり、流れのある環境の中で体験をすることで正しく恐れ、事故を予防して海や川を楽しむことに通じると考えています。

04. 海のそなえハウス

フローティングアイテムの開発や普及のため、三浦海岸海水浴場に『海のそなえハウス』を開設し、一般の方々にアイテムの貸し出しを行っています。

ライフジャケットに限らず、さまざまな遊び方や泳力に応じたフローティングアイテムを実際に利用していただくことで身近に感じてもらうとともに、フィードバックを集めることで、新たなアイテムの開発に役立てたいと考えています。

「海のそなえハウス」について

こうした取組みを通じて「溺れないための対策」「事故の予防」の観点から、社会全体で水難事故を減らしていく空気を醸成していきたいと考えています。

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